逆に忖度は無かったことを証明「書いているなら発言は有った」
加計文書を問題とするには幾つかの証明が必要だ。
1. 文書が本当に存在する
2. 文書は偽造ではない
3. 「官邸の最高レベル」などの発言が本当にあった
4. それらの発言が加計学園についてのものだった(「戦略特区を推進することは官邸トップレベルの意向です」では不充分)
5. 総理や官房長官が「加計学園の為に特区を早く成立させろ」というような指示を発言者に出した
6. 「官邸の最高レベル」などの発言が意志決定過程に影響した
(最初に以降の議論は無駄となる重要な断りをしておく。高橋洋一氏は、文書が書かれる前に特区は決定していた、文書は省内向けの言訳でしょ、と言っておられる、端から文書は問題にするに値しないとしている。)
2017/06/15に文科省が発表した調査内容では上記条件を全て満たしたとは言えない。
発表では「官邸の最高レベル」という文言を書いたとされる課長補佐の発言
A.「個人のメモだろうと考えている」
B. 「細部まで覚えていないものの、ここにこういうふう(ママ)記述ある以上は、えー、こうした趣旨の発言があったものだということだ。但し、その真意は分らない」
が公表された。B.については「総理の意向」という文言についても同じことが述べられた。
書いてあるから有ったんだろうというのは、普通なら、妥当な推測だが、クラッキングにより改竄された可能性を見逃している。改竄された可能性については言及がなかった。また、自分が捏造したがそれを忘れてしまったという可能性もあるが、やはり、言及はなかった。
議論を進めるために改竄や捏造でないとしよう。
ところで、野球大会の決勝戦で決定打を忘れはしない。長く語り継がれるだろう。
意思決定において「官邸の最高レベル」が決定的な役割は果たしたのなら、それを覚えているだろう。覚えていないということは、「官邸の最高レベル」が常套句で「ああ、また言ってるよ」程度のもので、意思決定には関係が無かったことを示していると私は考える。
文章の発見場所もまた問題だ。最初の調査で担当部署にそういう文書が見つからなかったことも
「官邸の最高レベル」という発言があったかどうか疑問を産む。
文科省の意思決定プロセスについて私は無知なのだが、担当部署にそういう文章が無かったことは「官邸の最高レベル」という発言が無かったか、有ったとしても影響力を持たなかった証拠だと思う。