『正義のミカタ』もフェイクニュース

『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(2017/07/29)でフェイクとミスリードがあった。

 

『お金を疑え!』のコーナーで円とドルの量的緩和のグラフを出した。円のグラフはフェイク。

と言うのは、円のグラフは10億円単位、最大の値は2017年で50億円。

解説の豊島逸夫氏は、日本の経済規模はアメリカの3分の1と言っていた。かくも小さな日本経済だが、60億円程度の量的緩和で日本経済にインパクトンを与えうると、豊島氏は考えているのだろうか。

豊島氏の経歴は三菱銀行入行、元スイス銀行外国為替ディーラーだそうだが、各銀行に大損させて首になったのだろうと私は考えてしまった。

 

次にミスリード

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二つのグラフを並べて比較しているのだが、横軸である期間の長さも違うし縦軸の金額の目盛の額も違う。

円のグラフの横軸の期間は1998年ぐらいから2017年ぐらいまでの19年間、

対するドルは1984年ぐらいから2017年ぐらいまでのから33年間。円と比べて14年、7割増しになっている。このため、後で触れるが、グラフの立ち上がりの時期が同じに見えてしまう。

 

グラフの高さを見てみる。

円は2000年は10億円で2017は50億円なので5倍になっている。

ドルは1984年が200億ドルでピークが4200億ドルなので21倍。グラフの高さは同じ。21倍と5倍が同じ高さになっている。円の起点1998年からだと700億ドルだから、6倍。

 

番組のデータを使って正しくグラフを比較して見る。以下の議論も番組のデータに基づいている。

面倒なので1ドル100円とする。期間の起点は円に合わせて2000年とする。

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地べたを這っているのが、『教えて』で使われた円の数字。

数値は信用できない。私は意地悪だから、黄色が円とドルの目盛を合わせるため円の数値を40倍した。円の目盛は10億、ドルの目盛は400億なので40倍した。

『教えて』グラフだと立ち上がりが同時期に見えるが、本当は円の立ち上がりが遅いことがわかる。

 

また、上のみならず下の資産残高推移を見ても、ドルには緩急がある。対して円は一本調子だ。

私は経済には詳しくはない。でも、次の例えは正しい気がする。

毎日100円づつもらうのと、お年玉に36500円もらうのではどちらが良いか?

貯金する堅実な人もいるだろうけれど、毎日100円だとパンストなどに消えてしまう。お年玉で貰えばPRADAのサンダルが買える。

カエルを水を張った鍋に入れたとしよう。いきなり100度にすれば、カエルは飛び出すが、1度づつ上げていけば、茹で上がってしまう。

さらに、戦力の逐次投入は戦術で避けるべきとされている。

 

以上は番組のデータを使えば生じるべき議論だ。

 

豊島氏は量的緩和を終わりにする出口戦略に触れた。ここでミスリードのグラフが活きる。アメリカは量的緩和を終わりにし始めたから日本もと。『正義のミカタ』のグラフでは日本もアメリカと同時期に量的緩和を始めたように見えるから、日本も終わりにしていいよねという雰囲気が生じる。さらに豊島氏は量的緩和を終わりにしないと経済ショックが起きかねない、インフレになりかねないと脅した。豊島氏は、巧妙なことに、伏線を張っていた。支那の国民党が中共に負ける1949年頃、支那で1はハイパーインフレが起き、60億元で手のひらに乗るお米しか買えなかったと言っていた。出席者からはジンバブエの例も出た。こう脅しておいた後、出口戦略のところで60億元に触れたのだ。

 

当然、豊島氏は自分のストーリーに合わない日本の開始時期が遅かったことには触れなかった。

 

では、豊島氏のデータは何から取られているのだろう?

検索してみた結果、日銀の資産残高推移のようだ。単位は、億ではなく、兆。4桁も間違えている。

豊島氏は語り口も軟らかく、つい、信頼してしまう。だが、気をつけないと。

http://finance-gfp.com/wp-content/uploads/2017/02/20170131nikkei.png(http://finance-gfp.com/wp-content/uploads/2017/02/20170131nikkei.png様より引用)

 

 

ところで上図にはFRBのデータも載っている、困ったことに、FRBの資産高推移を見ると額は一致しているが、グラフの形が結構違っている。豊島氏は異なるデータの比較をしたのか?

そして、それは、経済から見ると正しい手法なのか?

 

また豊島氏は、日本の経済規模はアメリカの3分の1なのにアメリカと同じほどお金を刷っていると脅したが、資産高推移のグラフを見ると、元々は日本の方がお金を多く吸っていたことがわかる。

 

番組には宮崎哲弥氏と藤井聡氏が出ていたが、少なくとも、視聴した限りでは反論の時間は少なかった。