『ハゲタカ』真山仁の嘘 購入前に日本向けF-35初飛行

(2018/10/13 *1を付加)

 

 嘘を平気で垂れ流す人物に敬称は付けない。

 

 真山仁週刊文春に『巨弾ノンフィクション ロッキード 角栄はなぜ葬られたのか』を連載している。断っておくが「巨弾ノンフィクション」であって「巨弾フィクション」では無い。

 

 仁は、2018/10/11号p143にこう書く。

「2017年11月の日米首脳会談で、ドナルド・トランプ米大統領は、「アメリカ人の雇用のため」に,一機147億円する戦闘機F-35を数十機購入して欲しいと、安倍晋三総理に堂々と求めた。

 それを安倍総理は「了解した!」と即答した。

 その瞬間、防衛省財務省は限られた予算をやりくりして、その購入費(もし40機だとすると約5900億円)を用立てなければならないし、航空防衛の編成を再検討する必要も出てくる。」

 

 些細なことから仁をネチネチと咎めてやる。

 

 仁はF-35の価格を「一機147億円」と書いている。147億円の頭には「約」は付いていない。購入数を「40機」と仮定している。これにも「約」は付いていない。ならば約5900億円に「約」を付ける必要は無い。更に40×147=5880である。仁は「5千9百億円」ではなく「約5900億円」と書いている。「約」を付けることで字数は節約できない。キリのいい数字を出して巨額と印象付けたいのだろう。

 

 仁はトランプ大統領の要求に安倍総理が「「了解した!」と即答した。」と書く。最近プーチン露大統領は、条件無して平和条約を年内に結ぼうという提案した。安倍総理は反応しなかったと叩かれた。かくも用心深い、または、(反安倍信者に言わせれば)鈍い、安倍総理が「即答」するものか?

 

 ちったあ考えろよ>仁。

 

 安倍総理が即答するなら、それは、事前に政府内で調整ができているからだ。

 大体、今後の当たり障りのない方向性ならともかく、大金が動く話は裏方が事前調整をするものだ。

 

 仁は「その瞬間、防衛省財務省は限られた予算をやりくりして(略)用立てなければならない」と書く。仁は5880億円を一括で支払うと思っているのか? 

 仁は文春2018/10/11号でロッキード事件を扱っている。DC-10やL-1011といった旅客機についても書かれている。なのに、仁は航空機の納期の長さを知らないのか! ロットサイズも!

 勿論、防衛省財務省は大変なのは間違いないが、「その瞬間」は大げさすぎる。契約に1年、納期に数年は必要だからだ。

 

 トランプ大統領は「アメリカ人の雇用のため」にF-35の購入を求めた。だが、F-35は日本でも生産する。保守もする。「日本人の雇用のため」にも役立つのだ。

 

 仁咎めも佳境に入る。

 

 F-35にはF-35A、F-35BとF-35Cがある。日本は2018/10現在F-35Aのみを42機調達する予定だ。仁はトランプ大統領の数十機購入希望に安倍総理が即座に応じたとしている。これは2017/11月のことだ。従って現在調達予定の42機は2017/11月以降に決まったことになる。

 では、自衛隊向けF-35Aの初飛行はいつだか検索してみよう。『HD 航空自衛隊向けF-35Aの初飛行映像【AX-1】JASDF's F-35A first flight』(www.youtube.com/watch?v=yHEXmcaD-Yo)が見つかる。この動画の投稿日付は2016/09/29だ。デモ用に航空自衛隊塗装をした航空機を飛ばすことはある。だが、これは、航空自衛隊塗装の機体ではなく、航空自衛隊F-35Aなのだ。つまり、なんと購入決定前に自衛隊のF-35Aが初飛行している。仁が言うようにF-35Aは147億円もする。だから、見込み客向けの機体を事前には、まず、作らない。

 

 仁の無知が明らかになった。

 

 あとは、おまけ。

 

 次に仁の情報処理能力を明らかにしよう。

 2017/11月の日米首脳会談で

「安倍首相は、「日本は防衛力を質的に、量的に拡充しなければなららない」と発言。F35Aや新型迎撃ミサイルのSM3ブロック2Aなどを米国から導入することを指摘した上で、「イージス艦の量、質を拡充していくうえで、米国からさらに購入していくことになるのだろう」とも述べた。」

(ロイター 「しなければなららない」の「らら」はママ jp.reuters.com/article/abe-trump-presser-idJPKBN1D60IW)

 どう読めば、新たにF-35Aの購入を決めたことになるのか、私には、分からない。

 

 これは、もう、超巨弾フィクションと言うべきレベルだ。

 

 そもそも、F-35AはF-4EJの代替機だ。最初のF-4EJは47年前の1971年に輸入した。発達が遅いと見受けられる1962年生まれの仁のオムツは、まだ、取れていない時期だ。仁ならずとも、老朽化している。

 F-4EJ(改)の乗員は二人。後席要員はレーダー操作を主に行う。だが、空自は後席もパイロット資格を持った要員を当てていた。(現在も同様と思われる)。と言うことはパイロットが二人必要になる。パイロット養成には金がかかる。パイロット二人でF-4EJ(改)を1機飛ばす。経費節減したい政府としては嬉しくは無いだろう。

 

 商売はお願いした方が不利になる。仁の言う通りなら、トランプ大統領が不利だ。売ってくれとお願いせずに済んだ安倍総理が、渡りに船と「了解した!」と快諾するのも無理はない(笑)。

 

 

(*1 仁は上記のように購入予定数を40機と仮定している。F-35A(もしかしたらF-35Bも)の追加導入も検討されているという報道もあるが、機数は20機程度(25機程度とする報道もある)。これからすると仁の念頭にあるのは追加導入では無いと推定できる。)