(新潮も)加藤友朗 Wheelは(アルミ)ホイールだって

加藤友朗という医者が有難くも英語の言い回しを新潮で教えてくれている。

だが、友朗の医師としての腕は兎も角、一般知識に欠ける。それが端的に現れたのが『人生で必要な英語は病院で学んだ』(2019/01/31号)。

この回では”reinvent the wheel”を扱った。友朗はwheelを次のように説明した。

「wheelとはタイヤのホイールのことで、reinvent the wheelは直訳すればホイールを発明し直すということです」。

イラストの現代洋子は無知な友朗に恥をかかせてはいけないとホイールの絵をイラストに含めている。

 

「wheelとはタイヤのホイールのこと」とするならsteering wheel(走行転把)とは何なのだろう?(笑)

 

正しくはwheelとは車輪だ。

 

友朗は読んだこともないだろうがヘルマン ヘッセの小説に『車輪の下』がある。これの英語の書名は”Beneath The Wheel”だ。

 

reinvent the wheelの含意を友朗は

「タイヤのホイールのようにすでにうまく機能するものがある場合はあえて別のものを発明しなくても良い」

としている。「タイヤのホイール」を車輪に直せば概ね正しい。だが、このフレーズには車輪のような単純で上手く働いているものを発明しなおすことは無駄だしアホくさいという軽侮のニュアンスを含む。

 

(車輪は単純でありふれているから簡単に発明できると一般に考えられているが実はそうでは無い。インカ文明など中米の文明は車輪を実用化できなかった/しなかった。近世の朝鮮は日本や支那で現物を見ていたのに自分で広く制作することができなかった。)