AirPods Pro Spatial Audioを試してみた

6月のiOSiPad OSとMacOSの発表イヴェントでAirPods ProのSpatial Audioの発表を聞いてAirPods Proをぽちっとしてしまった。が、iOS14ベータ1でもそれ以降のベータでも動かなかった。

 

時が経ち2020/09/16 02:00(日本時間)のAppleの発表で明日iOS14がリリースされると聞き、Webを検索したところ、『革新的な没入感!AirPods Proの新機能「空間オーディオ」を一足先に試した』(https://www.phileweb.com/review/article/202009/16/3977.html)

が見つかった。

 

開発者向けサイトではiOS14とiPadOS14のGM Seedがリリースされていた。iPhoneのソフトウェアアップデートにはBetaもGM Seedもつかないアップデートがあり、こちらを導入した(build番号はGM Seedと同じ。もしかしたら明日、新しいアップデートがリリースされるかもしれない。これまではGM Seedは2週間ぐらい前にリリースされ、GM Seed2が出たりした。GM SeedとGMの間が1日とはちょっと異例である。)

 

BluetoothAirPods Proの項目を見るとSpatial Audioの項目があり、ONになっていた。Spatial AudioにはAirPods  Proのファームウェア3A328が必要だが、これは2020/09/14にリリースされていた。更新に気が付かなかったが月火とAirPodsを使用したのでそのときにファームウェアの更新がなされたのであろう。

 

先にあげた『革新的な没入感!AirPods Proの新機能「空間オーディオ」を一足先に試した』は少々ピントがずれている。サラウンドヘッドホンはこれまでも数多くあった。(もっともサラウンドの観点から見るとイアフォンでサラウンド機能を持つものは実質AirPods Proが最初ではあるが。)

 

Spatial Audio機能で特筆すべきは頭を動かしても音が一緒についてこない音源の定位である。これはVR(とゲーム)を意識した機能であろう。『革新的な没入感!AirPods Proの新機能「空間オーディオ」を一足先に試した』はこれを軽視している。もっともオーディオ向けの媒体に掲載されているので、そんなものなのだろう。

 

私にとり音源の定位はこれが初めてではない。NEOH : the first smart 3D audio headphones(3dsound One)(https://www.kickstarter.com/projects/2019287550/neoh-the-first-smart-3d-audio-headphones?lang=ja)を所有しているのだ。

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(写真の引用は上記から)

3dsound Oneは上記の3D SOUND LABSと書かれ、ヘッドバンドに付けられた部品にモーションセンサーが入っている。ここからBluetoothiPhoneiPadにセンサー情報を送り、専用のプレーヤーがこれを利用して音を補正し、ケーブル経由で3dsound Oneに送っていた。3dsound Oneと専用プレーヤーの欠点はiPhoneiPadのモーションを検出しなかったことだ。このため静止状態だと音源の定位ができるが、動いているとできない。例えば、歩きながら音楽を聴いているとき、右に曲がると音源は左に移動してしまう。そして左に曲がらない限り、それが続く。車に乗っている場合、正面から聞こえるべき音が交差点で曲がると移動してしまう。

(3D SOUND LABSは、その後、センサー部分だけ売りに出したが、はかばかしくなかったとみえ、専用プレーヤーは64bit対応しなかったし、twitterの更新も2年ほど途絶えた。3D Sound Labsは今年の4月に身売りした。)

 

Appleは3dsound Oneの轍を踏まず、AirPods Proのモーション情報だけでなくiPhoneiPadのモーション情報も活用した(ようだ)。曲がり道を散歩しても正面から聞こえるべき音は正面から聞こえる。(但し急な動きには遅延が生じる。)特にノイズキャンセルをオフにしていると、まるで、iPhone本体から音が出ているようで、音漏れ(?!)を警戒してAirPodsを外して確認してしまった。AirPodsの新機能の一つが再生デバイスの違和感の無い変更で、例えばYoutube鑑賞をiPhoneからiPadに変更すると、AirPodsも操作なしでiPadの音を拾う。これが上記戸惑いの原因になっている。

 

Spatial Audioの音源の定位はTVアプリが再生するコンテンツに対応している。ステレオ作品(『ロシュフォールの恋人たち』etc)でも(サラウンドは無いが)頭を左に動かせば音は右側から聞こえてくる。DMMアプリ、残念ながらDigital Concert Hallアプリの音はいつも正面から聞こえる。

おそらく、プレーヤーがモーション情報をAirPods Podへ送るかどうかがSpatial Audioが使えるかどうかを決めているのだろう。モーションセンサーが搭載されていないMacBook ProはBig Sur Beta6でもSpatial Soundに対応していない。