パブロフの犬HK

週刊文春(2017/09/07)のテレビ時評コラム『テレビ健康診断』は「戸部田誠(テレビのスキマ)」とかいう人による。

この方は冒頭で「夏はNHKの”本気”を感じる季節だ」と書き、インパール作戦731部隊などの終戦関連番組を取り上げ、続いて、「戦後70年以上経ったにもかかわらず、新事実や新しい切口で番組が作られ続けていることに驚嘆する」と仰るのだ。

 

だが、この御仁はこれらの番組には同じ通奏低音が貫かれていること気付けない。

 

NHKはずっと公共放送であった。とは言え、公共性は維持できなかった。権力のポチであった。GHQの指示命令下だから、自虐史観形成定着に献身したことは無理からぬ面もある。だが、GHQが去った後もGHQの指示命令に従ったままとは呆れる。理性がある人間なら、GHQの残滓をこっそり拭い去るだろう。だが、NHKは、戦争という条件に反射して自虐史観を吠えまくるパブロフの犬HKなのである。

 

私はテレビを見ない。上記番組の「新しい切口」は知らない。だが、加計間題の報道姿勢を見ると、本質を外れたどうでも良い切口なのではないかと考えてしまう。あるいは、2016年の関東大震災の「朝鮮人虐殺」番組のように、真因を隠してでっち上げた番組なのだろうと考えてしまうのだ。

 

こういうことに頭が回らない御仁にメディア リテラシーなぞあるものか。

ところが、このコラムのタイトルは『メディア・リテラシーを鍜えられる「昔話法廷」』。笑止にもリテラシーが入っている。

 

『テレビ健康診断』よりこの御仁のおつむの健康診断をした方が良い。

 

タイトル中の「昔話法廷」とはNHKの子供向けの裁判員裁判の啓蒙番組。「ヘンゼルとグレーテル」や「さるかに合戦」などを題材に、悪者サイドにもいろいろ事情があるのだとか、ヘンゼルとグレーテルが魔女を竃に押し込んで焼き殺したのは殺人だ!とか、純真な子供を洗脳する番組のようだ。一言注意しておくと「ヘンゼルとグレーテル」が成立した傾の西洋では魔女とは絶対悪だったのだ。

 

私は、昔話を喜んで聞くような子には「悪いことをしてはダメよ」という原則を教えることが大切だと思う。おいたをした子の言い訳を認めてどうする。

更に言うのなら、子供に「盗人にも三分の理」を教える場として白黒を明確にしてしまう法廷が適当なのだろうか?

仲直りができるような仲裁の場が良いと思う。

 

ヘンゼルとグレーテルでは、目が不自由な魔女に鳥の骨を触らせ、まだ痩せていると誤魔化した。番組では弁護人がこれには無理があると発言した。だが、ここは、子供の機転と知恵に感心する場面だ。

それとも、犬HKは反知性を称揚しているのだろうか。

 

裁判員裁判の啓蒙を建前に、NHK教育勅語敵視と同じように、道徳基盤を崩そうとしていると、私は勘ぐってしまうのだ。