青天の霹靂を使って脅す毎日『安倍氏が総裁選出馬表明 「負の遺産」清算の展望は』

安倍晋三自民党総裁の総裁選出馬表明を受けて2018/08/27に毎日新聞が出した社説『安倍氏が総裁選出馬表明 「負の遺産清算の展望は』(t.co/LrrJGofHGs)はツッコミどころ満載だ。

 

かって民主党と名乗った殺人集団が、彼らを支援する朝日(ちょうにち)新聞と売日新聞とともに、「コンクリートから人へ」と訴た。そして、彼らは、コンクリートを殺したのみならず、人を何百人も殺し続けている。コンクリートが「死なな」ければ、砂防ダムや堤防や河川改修で助かった/助かる何百人を。

 

かくも、スローガンとは危険なものである。

 

安倍氏が総裁選出馬表明 「負の遺産清算の展望は』にはこの手のフローガンが含まれている。

 

毎日は

「「地方創生」「女性活躍」「1億総活躍」「働き方改革」……。首相は毎年のように新しいキャッチフレーズを生み出してきたが、首相自身が認めるようにいずれも「道半ば」だ。」と喝破し、次に、

「実際には一つ一つ、きちんと成果を検証することなく、目先だけを変えてきたのではなかったか。」と結論を出した。

 

ところで、清涼飲料は味が変わらなくともキャッチフレーズは変えてCMを行う。首相も人気商売だ。時流に応じてキャッチフレーズも変える、と売日が喝破しないのはなぜだろう。

 

毎日新聞は、アベノミクスが行き詰まりを見せていると書く。さすがの売日新聞もアベノミクスの効果は無いことにできなかった。「輸出産業を中心に株価は上昇した。雇用は増え、企業収益は全般的に向上するなど、いくつもの経済指標が好転したのは間違いない」と書いている。

「多くの国民が今も景気回復を実感しているとは言い難い。」と売日は言う。だが、景気回復実感の条件は示さない。「給料が倍になつたら景気回復を実感する」と言われてもね。そもそも、売日新聞の購買層は年金暮らし。年金はインフレ率とは微かに連動するが、景気には連動しない。サラリーマンの給料が倍になっても年金は変わらないのだから、売日新聞の読者は景気回復を実感すべくもない。

 

賃金上昇、初婚年齢の上昇が止まり始めたかもしれないこと、ひとり親家庭の高校進学率が向上していることを売日は書かない。

 

「長女は就職した。次女の就職も大丈夫そう。俺の給料は上がらないけど、奥のパートの給料も娘のバイト代も上がった。物価も落ち着いているし。まあ、いいんじゃないかな」というお父さんの声を聞くべきなのだ、売日新聞は。

 

「巨額な上場投資信託(ETF)を買い入れて株価を支え」とあるが、市場規模と買入額は書いていない。このようにこの社説には定量的な議論が無い。また、この文は先の「輸出産業を中心に株価は上昇した」と(若干の)齟齬があるが、売日は平気で書く。

 

あ、そうそう、「株価は上昇した」と定性的に書くが「株価は倍増した」と定量的には書いていない。

 

「当初2年程度で達成すると言っていた2%の物価上昇目標も達成されないままだ。」とある。だが、日銀ですら消費税増税が物価目標を妨げたと言っている。なのに売日が消費税増税に反対しないのは何故なのか。

 

次に毎日は「消費増税を2度先送りしながら、予算は膨張し、将来世代への借金のつけ回しは増えるばかりだ。」と書く。だが、消費税増税したら税収が減ったことは明らかになっている。それなのに、借金を減らすには消費税増税をしないことだと言う自明な結論に、何故か、到らない。

 

売日は「「道半ば」を繰り返して3年が過ぎれば、迷惑を被るのは次の政権であり、国民だ。」と書く。が、道半ばどころが後退させた民主党には恨み言の一つも言わない。

 

売日新聞が消費税増税に甘いのは、軽減税率という飴玉をもらっているからだろう。軽減税率があるから、売り上げは落ちないと、計算もせずに、呑気でいるだろう。

だが、落ちないのか? 

テレビ欄もテレビで見られ予約もできる。ネットが普及している今、必要な時に天気予報も調べられ、日付も曜日も分かる。

このように新聞が提供するフェイク以外の情報は他の手段で取得できるのだ。新聞代は冗費、と見られない保証は無いと、老婆心ながら。

 

社説には「経済政策が急激に変われば市場は大混乱するかもしれない。」とも書かれている。が、「経済政策を急激に変えなければいいのだ」という単純な解を書かずに売日は不安を煽る。

 

売日は「20年の東京五輪パラリンピック後には日本全体の景気が後退局面を迎えるとの見方もある。」と脅すが、「デフレ脱却を大義名分に導入された「劇薬」」を今から減らし始めれば五輪パラの景気後退が軽くなるという証明は無い。

「劇薬」を減らせば、日本経済は風邪をひくだろう。風邪をひいているときに五輪パラ後の景気後退という冷水を浴びれば肺炎になるだけのような気がするのだが。

 

かってシートベルト義務化の時に、シートベルトで死ぬケースもあると反対があった。論ぜられるべきは助かるケースと死ぬケースの数と比率なのだが。

毎日新聞のこの社説には確率計算が無い。つまり、青天の霹靂に打たれて死ぬかもしれないと心配を煽っているだけなのだ。

 

毎日が(「ご」がつかない)立派な新聞たらんと欲するならば「風が吹けば桶屋が儲かる」的定性論法はやめるべきだ。