爆撃機を「ボンバー」としてしまう池上彰 #いけがmetoo

池上彰さんが若かった頃、ローラーゲームが流行りました。ローラースケートを履いたチームがリングをグルグル回りながら相手に暴力を振るうスポーツです。映画にもなり『ローラーボール』(Rollerball) (監督:ノーマン ジュイソン、主演:ジェームズ カーン、ジョン ハウスマン、モード アダムス 1975)などが上映されました。

日本でも人気が出て東京12チャンネルで放送されました。東京ボンバーズというチームも結成されました。同チームの黒髪をなびかせ疾走しながら暴れまわるヨーコは人気を集めました。若い彰さんはヨーコに魂を奪われ、勉強がおろそかになったのかもしれません。あるいは映画『カンサスシティの爆弾娘』(Kansas City Bomber)( 監督:

ジェロルド フリードマン、主演:ラクエル ウェルチ 1972)のラクエル ウェラルチ

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(Amazon様より引用。写真は『恐竜100万年』より)

に魅せられたのか。


爆撃機のスベルは『カンサスシティの爆弾娘』の原題を見てわかる通りbomber。comb(櫛)、tomb(墓)、womb(子宮)のようにbombの最後のbは発音されません。ですからbomberは「ボマー」と発音するのが正しいのです。ローラーゲームより歴史が古い通販では爆撃機の乗員が着用した革ジャンパー(bomber jacket)を「ボマージャケット」と正しく発音していました。(特にローラーゲーム後、表記に揺らぎあり。)


週刊文春2019/04/25の『池上彰のそこからですか!?』のタイトルは『ステルス戦闘機墜落の衝撃』。ここで彰さんは空自F-35Aの墜落を扱いました。

冒頭で彰さんは、レーダーから機影が消えたことに首を捻られます。レーダーに映りにくいステルス機なのにどうしてレーダーに映っていたの?と。

彰さんは墜落事故などの報道でレーダーの画面を見たことがないのでしょうか。そこには便番号などの情報が表示されています。雫石事故、護衛艦あたごと漁船の衝突事故などを見ても分かる通り、日本はなんでも自衛隊が悪いとされてしまうお国柄。F-35と旅客機がニアミスでも起こしたら大変なことになります。当然イルミネーターなりトランスポンダーなりレーダー波反射板なりをを作動していた筈です。こんなことにも気づけない彰さんて。


コラムの中で彰さんはF-35Aの名前の説明をしています。

<F35のFとは「ファイター」(戦闘機)の頭文字です。>

そして、

<ちなみに、B1爆撃機のBとは「ボンバー」(爆撃機)のB>

と説明してしまいました。


彰さんを誤らせたヨーコが所属した「東京ボンバーズ」は罪が重いと申せましょう。


ところで解せないことが一つあります。1978~1995にアメリカで連続爆破事件があり、死者3人、重軽傷23人を出しました。この犯人は捕まるまでユナボマー(Unabomber)と呼ばれました。彰さんもこの事件でbomberはボマーと発音すると知った筈です。普通は新しい記憶が残るものです。でも、雀百まで踊り忘れず、とも言いますから。ちなみに、池上彰さんの齢は68。


この程度の彰さんですから、彼の日本の防衛についての考えは評価できません。


私もですが、品性が卑しいと発想もそうなります。彰さんは

(いずもの)<エレベーターは、F35Bがスッポリ入る大きさになっていました。これを偶然と見る人はいないでしょう。>

私もいずも級はF-35Bの運用も考えて設計されたろうとは思います。ですが、彰さんの下種の勘繰りは妥当でしょうか。いずもの前級ひゅうがの後方エレベーターは20m×13mあり、

<SH-60がローターを広げた状態で積載できる>(*1)(Wikipediaひゅうが型護衛艦」)。

20m×13mですとF-35Bの幅は10.67mですので、ひゅうがでも「F35Bがスッポリ入る大きさになっていました」。彰さんの勘ぐりとは違って、ヘリの迅速な運用やローターの折りたたみ装置の不具合を考慮するとこの大きさになるのでしょう。いずもの設計にあたってはF-35Bよりオスプレイの運用を考えたとする方が妥当でしょう。

(*1 Wikipedia「SH-60J (航空機)」では<主回転翼直径:16.4m>となっています。ロータの隣り合う先端同士の距離は11.6mですのでローターを(+ではなく)×の字の位置にすればローターを展開した状態でもエレペーターに収まります。 )


<空母というと、専守防衛よりは他国を攻撃する艦船です。>

と彰さんは宣います。ですが、ひゅうがの満載トン数は26,000トン。運用できるF-35Bはせいぜい10機プラス。F-35Bはステルス性を犠牲にすれぱ8トンの兵器を搭載できます。これで他国(除く島嶼国)を攻撃するのは、例えていうと、拳銃一丁で、アメリカの警察署に殴り込みをかけるようなものです。攻撃とはいえません。彰さんは空母というとアメリカ海軍の原子力空母を想起してしまうようです。ヘリ空母や、第二次世界大戦まで遡って護衛空母を思い出すべきです。護衛空母は主に船団護衛や対潜哨戒任務に用いられました。これは立派に専守防衛です。(日本の航空戦力の弱化に応じ、護衛空母群を対地支援任務等に振り向けた。)


彰さんはステルスの仕組みを

<真正面から飛んできた電波を真横に反射するする形状にしています>

と説明されています。これも正確ではありません。レーダー波をその発生源に戻さない形状にしています、が正しいのです。彰さんは若い頃『ステルス戦闘機―スカンク・ワークスの秘密』(ベン R. リッチ  1997/1  講談社)を勉強しておくべでした。


彰さんは価格にも触れ

<「価格が高すぎる」という声も高まりそうです。>

と結んでいます。これではまるで新聞がよくやる「批判が高まりそうだ」なる煽りです。


池上彰さんがまともなライターなら、安くてF-35の代替が可能な機を示すべきですし、それができないのなら、次を示して読者をなだめるべきです。


「あの反日に狂う韓国がF-35を持っていますから、保有は仕方ありません。」