「選挙結果と世論のズレ」悔しいのう、悔しいのう、朝日いいがかり社説を批評(2)

「選挙結果と世論のズレ」悔しいのう、悔しいのう、朝日いいがかり社説を批評(2)

 

自公連立与党が議席の2/3を占めた総選挙翌日2017/10/23、朝日は『政権継続という審判 多様な民意に目を向けよ』(http://www.asahi.com/articles/DA3S13193375.html)と題する社説を掲載した。

 

前稿『「多様な民意に目を向けよ」悔しいのう、悔しいのう、朝日いいがかり社説を批評(1)』では朝日の多様についての矛盾を指摘した。今回は小見出しにもなっている選挙結果と世論のズレを評価してみる。

 

その前に本稿でもお話しから。

<飯場>

貴方は借金に追われ山奥の工事現場で飯場暮らしをしている。きつい肉体労働だが、働きに応じて賃金が良くなる。

住環境改善のアンケートが来た。貴方は「食事のメニューを増やす」に丸をつけた。現在の食事は和食で量は肉体労働向け。新メニューはコンチネンタルブレックファースト。薄いトースト一枚と小さなマーガリン。コーヒーか紅茶どちらかを選択できる。職長以上の朝食として好評だ。

貴方は新メニューを選ぶだろうか。

 

<アンケート>

院の心理学専修から調査があった。

「隣人と仲良くすべきか」という質問に貴女は丸をつけた。

次の質問は「山尾志桜里辻元清美豊田真由子のような隣人と仲良くすべきか」。

貴女は丸をつけるだろうか。

 

小見出し『■選挙結果と違う世論』では朝日が行なった世論調査の結果と総選挙の結果が食い違うことを論じている。

 

まず朝日は回答が正直であるのかを問題にしなければならない。朝日はこれを等閑視している。「出口調査では立憲(だったかな?)に入れたと嘘をつく」というような発言もTwitterに見られるようになった。私もそうしようと思ったが、残念なことに調査員はいなかった。世論調査の電話もあったのだが、ムカッとして切ってしまっていた。

次に、調査項目に回答を誘導するようなストーリーは無いかを検討しなければならない。

更に比較する項目間にカテゴリー違いの有無など妥当性も考慮しなければならない。例えば、新幹線と飛行機どちらが便利かと?いうような比較には無理がある。

 

朝日はこれらを無視している。

 

朝日は次の調査結果を選び出した。

「「今後も自民党中心の政権が続くのがよい」は37%、「自民党以外の政党による政権に代わるのがよい」は36%。」

 

調査項目「今後も自民党中心の政権が続くのがよい」は「自民党中心」と特定している。これは<飯場>のコンチネンタルブレックファーストに相当する。調査項目「自民党以外の政党による政権に代わるのがよい」は<飯場>の「食事のメニューを増やす」に相当し、一般論を問うている。総論賛成各論反対という言葉があるように、人は一般論に賛成しやすい。

正しい設問は

自民党以外の無能な政党による政権に代わるのがよい」

あるいは「民進党による政権に代わるのがよい」とか「共産党による政権に代わるのがよい」…

だ。

 

結論の文は

「おごりと緩みが見える「1強政治」ではなく、与野党の均衡ある政治を求める。そんな民意の広がりが読み取れる。」

朝日はここでも「おごりと緩みが見える」と根拠も示さずレッテル貼りをしている。

正しい設問をしなかったので、言い換えれば、「新幹線と飛行機どちらが便利か」のような誤った比較をしたので解釈を誤ってしまった。

ベターな解釈は

おごりと緩みが見える「1強政治」ではなく、共に有能な与野党の均衡ある政治を求める。そんな民意の広がりが読み取れる。」」

だ。

 

IT業界にはGIGOと言う諌めの言葉がある。GIGOはGarbage in, garbage outの略で、(どんなに優れたスーパーコンピュータでも)データが間違いを含むデータなら、計算結果はゴミだ、と言う意味である。

正しいデータを入れてもエラーを起こす旭原始のさして優れていないコンピュータに不適切なデータを入れたらどんな結果が出てくるのかは、賢い朝日新聞ならお分かりのはずなのだが。