HUFFPOSTの学士院と学術会議の関係を検証した記事をチェックする。

朝日崩れの社員が多く在籍するHUFFPOST。そこが次の記事を出した。

「学術会議で働いたら学士院へ行き、年金250万円もらえる」は誤り。学士院「全くない」と強調

』(https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f7bcec1c5b61229a055ff86)

 

この記事は

日本学術会議を6年勤め上げると日本学士院へ行って終身250万円貰える

という風説を検証したもの。記事は

1.学士院は文科省、学術会議は内閣府と所管が違う

2.日本学士院はハフポスト日本版の取材に「学術会議の会員を務めた方がその後推薦で学士院の会員に選定されることはある」とするが、「学術会議の会員を努めたからといってそのまま学士院の会員になるということは全くない」と平井氏が述べた「ルール」の存在を完全否定。

3.「定員150人の終身会員となる組織に、6年任期の会員210人が入るのは不可能だろう。」などと風説が誤りだとする。

 

まず、HUFFPOSTの詰めの甘さを指摘する。

財務省では主計局長を務めたら事務次官になるケースが非常に多い。かといって財務省の明文化されたルールに「主計局長は事務次官にする」は存在しないだろう。HUFFPOSTは財務省からそういうルールは無いと聞いて納得するのだろうか?HUFFPOSTが仮に優れたメディアなら実情を突きつけ、更に問いただすであろう。HUFFPOSTは踏み込まなかった。

 

HUFFPOSTがしなかった作業をしてみた。

 

学術会議から学士院へ移った人の数を調べてみると驚愕の事実が分かった。(学士院150席中20空席)(学士院会員でWikipediaに本人記事が無い人14人(自然科学科学部門))

 

Wikipediaで学士院会員で学術会議を経ている人を調べてみると12人しかいないのだ。空席、未記載、そして私のミスを考慮しても10%程度だ。

 

学士院にしろ学術会議にしろ優れた学者を集めた団体だ。ならば、学術会議と学士院の重なりが多数あって然るべきだ。それなのに学士院には学術会議出身者はかくも少ない。

 

私見だが、学術会議には研究活動より学会活動を優先する人が蝟集しているように見える。そういう人が仲間内の推薦で学術会議に来るのだろう。

 

学士院には多数のノーベル賞受賞者がいる。研究を優先してきた人が集まっているように見える。仲間内の推薦で学術会議に入った人の多くにはノーベル賞級の実績は、まず、無い。だから学士院に入れないのだ。HUFFPOSTの記事の2.は学術会議のメンバーの大半が学士院の基準に達していないことを示している。

 

学士院と学術会議は性格が違う。ならば学術会議の人選のあり方を考え直しても良かろう。HUFFPOSTは図らずともこのことをあきらかにした。

 

・学術会議出身の学士院会員

美術史学の青柳正規

認知心理学苧阪直行

政治学の三谷太一郎氏

社会思想史の水田洋氏(101歳)

都市・地域経済学の藤田昌久氏

経済学の石井克人

経済学の大塚啓二郎氏

物理学の小柴昌俊

物理学の益川敏英

宇宙線天文学梶田隆章

電子通信工学の岩崎俊一氏

泌尿器科学の垣添忠生

 

 

 

 

*学士院会員で学術会議関連者

日本法制史石井紫郎氏(但し、学術会議外部評価委員)

質量分析田中耕一氏(学術会議連携会員)

半導体工学の赤坂勇氏(学術会議栄誉会員)

 

*学士院会員で以下の人にはWikipedia内のリンクが無い。学士院会員ともなればWikipediaに項目があって然るべきだと思うのだが。

原子核物理学の山崎敏光(wiki無し)

生物化学の黒岩常祥氏(Wiki無し)

無機化学の巽和行氏(Wiki無し)

有機合成科学の鈴木啓介氏(Wiki無し)(66歳)

物理学の下田光一氏(Wiki無し)(100歳)

機械工学の堀幸夫氏(Wiki無し)

植物病理学の四方英四郎氏(Wiki無し)